そのドリンクは、ソフトドリンクですか、ノンアルコールドリンクですか? 13カテゴリーで設計するビバレッジ構成
- 本郷 孝人

- 4 日前
- 読了時間: 6分
ノンアルコールを導入して、ゲスト満足度と売上アップ!
連載|テーブルの仲人の考えごと 第9回
横浜のホテルバーからキャリアを始め、インポーター営業、総合食品酒類卸売、量販店の現場管理、ラグジュアリーホテルのソムリエからビバレッジマネージャーまで、料飲の現場を多角的に歩んできた本郷孝人が、テーブルを囲むゲストとお料理、そしてドリンクの”あいだ”に立つ仲人の視点から、日々のサービスで考えていることを綴る連載。第9回のテーマは「ノンアルコールドリンクの導入効果」。ソフトドリンクとノンアルコールドリンクを分けて考えるという発想から、シェ・フルール横濱では13のカテゴリーでビバレッジを構成しています。その設計と、導入によって何が変わったのかを読み解きます。
文|シェ・フルール横濱 本郷 孝人
記事構成|Apoptosis 尾崎 眞子
ソフトドリンクとノンアルコールドリンクは、別のものである
業態やコンセプトによる違いがあることは前提として、レストランサービスの現場でノンアルコールドリンクをどう捉えるか。そう考えた時にたどり着いたのが、アルコールフリーのアイテムを「ソフトドリンク(清涼飲料水)」と「ノンアルコールドリンク」にカテゴリー分けするということでした。

わかりやすく説明すると、ファーストフード店で提供されている飲料は、全てソフトドリンク(清涼飲料水)と考えればご理解いただけるかと思います。
食事を提供する飲食店において、これまではアルコールとソフトドリンク(清涼飲料水)だったところに、最近はノンアルコールドリンクが加わったと考えています。
ソフトドリンクの構成比1%未満という設計
シェ・フルール横濱の現在のドリンクを例にとれば、基本的にアルコール、ローアルコール、ノンアルコールで構成されていますが、その中でソフトドリンク(清涼飲料水)は2アイテムのみとなっています。
ドリンク全体のシェアでは1%未満ということになっており、このシェアとゲストニーズのバランスが、今後の飲食店のドリンク全体の方向性を左右するように感じています。
ノンアルコールドリンクを13にカテゴライズする
では、レストランサービスの現場でノンアルコールドリンクをどう捉えていくか。大きくは、お茶、果汁、ジュース、モクテル、ノンアルコールビール&ワイン、その他と分類できるかと思います。

さらに、シェ・フルール横濱を例に詳細を分類すると、Apoptosisアイテムを軸に次のような構成となっています。
ボトリングティー
ボトルスパークリングティー
ジュ・ド・レザン
フルーツスパークリング
フルーツジュース
自家製シーズナルドリンク
ノンアルコールビール&ワイン
クラフトワインオルタナティブ
モクテルドライスパークリング
フレーバーミネラルウォータースパークリング
ノンアルコールドリンクコーディネート3杯
ソフトドリンク
コンブチャ
そして、最近最も注目しているのがコンブチャです。
導入効果は、テーブルマリアージュと客単価の両方に現れる
ソフトドリンクからノンアルコールドリンクへ移行させる最大の効果は、アルコール、ノンアルコールに関係なくテーブルマリアージュが可能となり、より豊かで楽しい食事の時間がもたらされることだと考えています。
また、かねてより通説観念となっている価格の上で「アルコールは高く、ソフトドリンクは安い」という構図があります。ソフトドリンクからノンアルコールドリンクへと移行、導入していくことで、それぞれの価格を同水準にしていく。そうすることで全てのゲストが同等となり、お客様単価が上がり、テーブルマリアージュが盛り上がりワンモアバイをもたらし、ビバレッジの売上が上がり、店舗全体の売上にも大きく貢献するということにつながっていく。これは自ら実際の現場でエビデンスとともに立証しております。

導入時の留意点は、数ヶ月の在庫と原価率、そしてスタッフの商品知識
ノンアルコールドリンク導入の際の留意点としては、導入のアイテム数やお店の規模に合わせての購入量にもよりますが、導入月から数ヶ月の間、ノンアルコールドリンクがゲストに認識されるまで、在庫高と原価率が上がる場合があります。
これは数ヶ月後には、ゲスト満足度と飲料売上アップとなって結果として返ってくることになります。ただしそのためには、サービススタッフのノンアルコールドリンクについての深い商品知識と理解、情報収集ネットワーク、サービススキル等が不可欠だと考えており、これらのことについて、必要とあればご相談していただければ惜しみなく情報を提供させていただきたいと思っています。
現地視察研修という選択
さらには、現地視察研修もサービスする上でとても効果的です。これまでもApoptosis尾崎さんにもご尽力いただきながら、ワインや日本酒の現地視察研修と合わせて、ノンアルコールドリンクの現地視察研修を長野や山梨、今年も岐阜や北海道に訪問を予定しております。

今後もお客様満足度をさらに上げて、テーブルマリアージュを盛り上げて、より豊かで楽しいお食事の時間を提供して、美味しかったから楽しかった、そしてまた来たいと言っていただけるように、日々研鑽を積み、さらにスキルアップしていきたいと考えております。
総括:約35年を経て、ノンアルコールを語っている
横浜のホテルバーで、ほぼアルコールオンリーからこの世界のキャリアをはじめた自分にとって、約35年の時を経て、今、ノンアルコールを語り、提供していることに一番驚いているのは、自分自身だと感じています。
その一方で、Apoptosis尾崎さんとの出会いによりノンアルコールドリンクを受け入れることができ、さらにこのような連載の機会をいただき、自分自身のこれまでの経験を含めて、ノンアルコールドリンクを中心にビバレッジの在り方について整理することができ、心より感謝しております。
この場をお借りして、改めて御礼申し上げるとともに、引き続きよろしくお願い致します。
執筆者プロフィール
本郷 孝人(ほんごう たかひと) シェ・フルール横濱
ビバレッジコーディネーター
1971年、神奈川県横浜市生まれ。高校卒業後、大学在学中より横浜のホテルのバーからバーテンダーとして料飲サービス業のキャリアをスタート。都内のホテルに勤務したのち、総合酒類小売業、輸入ワインおよび洋酒業、総合食品酒類卸業で、ヴーヴ・クリコ・ジャパン、MHD(モエ・ヘネシー・ディアジオ)などを経て、約25年間にわたり営業職として従事。2019年より飲食店サポート業務を手がけつつ、再びサービス業界へ。福岡のフレンチ「アニオン」、箱根リトリートホテル&ヴィラ by 温故知新、ウエスティンホテル横浜のメインダイニング「アイアンベイ」での勤務を経て、2025年8月よりシェ・フルール横濱の現職。バー、ホテル、インポーター、ディストリビューター、量販店、そしてサービスの現場―飲料をめぐるあらゆる立場を経験してきた視点から、「テーブルマリアージュ」というキーワードを軸に、料飲のあり方を探求し続けている。



