ノンアルコールの理想のプライシングは「アルコールと同等」
- 本郷 孝人

- 14 時間前
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ノンアルコールドリンクの品揃えがお店選びの選択肢に!
連載|テーブルの仲人の考えごと 第10回
横浜のホテルバーからキャリアを始め、インポーター営業、総合食品酒類卸売、量販店の現場管理、ラグジュアリーホテルのソムリエからビバレッジマネージャーまで、料飲の現場を多角的に歩んできた本郷孝人が、テーブルを囲むゲストとお料理、そしてドリンクの”あいだ”に立つ仲人の視点から、日々のサービスで考えていることを綴る連載。第10回のテーマは「ノンアルコールドリンクのプライシング」。理想の価格設定とは何かという問いに、本郷さんが今たどり着いている答えと、19年目を迎える店でそれをどう実現していくのかを読み解きます。
文|シェ・フルール横濱 本郷 孝人
記事構成|Apoptosis 尾崎 眞子
理想のプライシングは「アルコールと同等」という結論
ノンアルコールドリンクの理想のプライシングとは何か?

その答えは、「アルコールと同等」という考え方に、今、至っています。
これは、飲食店にとって全てのお客様を同等にお迎えするという、原点の考え方にもつながってきます。見方を変えれば、これまで一般的であった、ドリンクメニューのアルコールが高くてソフトドリンクは安いという構図は、同等ではなかったということにもなってきます。
19年目の店で、既存の構図をどう変えていくか
この同等ということについては、これからオープンする新規店や元々ハイプライスの飲食店であれば容易なことです。しかしながら長年、アルコールとソフトドリンクの構図で営んできた飲食店にとって、なかなか至難の業であると思います。
現在勤務しているシェ・フルール横濱も今年で19年目に入り、昨年自分が入るまでは、正にこの構図でした。実際にお客様のニーズを紐解いてみると、ソフトドリンクではないノンアルコールドリンクの需要が確実にあると考え、昨年末より試験的に、Apoptosisさんのボトリングティーとラ・フルティエール・タケウチさんのジュ・ド・レザンを導入することにしました。
ソフトドリンクをどう位置付けるか
ドリンクメニューを構成する際の考え方の一つとして、ドリンクをお料理と共に楽しんでいただきたいと考えています。ですので、ドリンクメニューにS・M・Lや小・中・大とあるような飲食店の考え方とは異なってくることを大前提として、ソフトドリンクをどう位置付けるかが大きなポイントになってくると思います。
現在、シェ・フルール横濱のドリンクメニューのソフトドリンクは、某大手メーカーの黒ウーロン茶とジンジャーエールの2アイテムのみとなっています。

この2アイテムをオンメニューしている理由は、いくつかあります。その一つとして、メニューをご覧になることなく、ウーロン茶やジンジャーエールをご注文される方がある一定数いらっしゃるということです。ジンジャーエールについては、生姜の風味の強い、いわゆるクラフトジンジャーエールへの切り替えも考えましたが、お客様ニーズと強い生姜の風味がお料理と不一致と考え、今に至っています。
理想に対して、今は70〜80%という自己評価
お料理との価格バランスや、その他の構成比率から考えると、理想とするプライシングに対しては、70〜80%くらいかなと思っています。
今後は、この取り組みが独りよがりとならないよう、原価率も改善しつつ、しっかりとお客様に向き合い、楽しかったと言っていただけるように、日々アップデートしていきたいと思っています。
このように、お店のコンセプトを考えソフトドリンクをしっかりと位置付けることで、ノンアルコールドリンクの位置付けが明確となります。ソフトドリンクを土台として、その上に選ばれしノンアルコールドリンクが加わり、適正なプライシングが決まってくると考えています。
ノンアルコールドリンクの品揃えが、お店選びの選択肢になる
ノンアルコールドリンクは、必然的にソフトドリンクよりもハイプライスとなります。さらにはアルコールと同等のプライシングとしていくことは、飲食店のレベルとしてもハイレベルな位置付けとなっていくことになるかと思います。
それ故、昔と違って、今は様々なハイクオリティなノンアルコールドリンクが市場に出回っていることを考えると、これらをしっかりとお店のコンセプトとお客様のニーズに合わせて品揃えをしてご提供することが、選ばれし飲食店となります。ノンアルコールドリンクの品揃えが、今後確実にお店選びの選択肢の一つになっていくと考えております。
総括:ドリンクメニューを取り巻く環境の激変のなかで
前回と今回、関連的なことを少し掘り下げてお話させていただきました。
自分自身も時折お客様にもお話するのですが、レストランサービスでのドリンクメニューを取り巻く環境がここまで激変するとは、全く思っておりませんでした。一方で、日々試行錯誤を繰り返しながら、今、このような環境に身をおけていることを嬉しく思っております。
これからも、ノンアルコールの方も、ローアルコールの方も、アルコールの方も、同じテーブルでお料理と共に、楽しい時間をお過ごしいただけるようなテーブルマリアージュを、ビバレッジコーディネーターの名に恥じぬよう、日々アップデートしていきたいと思っております。今後ともよろしくお願い致します。
執筆者プロフィール
本郷 孝人(ほんごう たかひと) シェ・フルール横濱
ビバレッジコーディネーター
1971年、神奈川県横浜市生まれ。高校卒業後、大学在学中より横浜のホテルのバーからバーテンダーとして料飲サービス業のキャリアをスタート。都内のホテルに勤務したのち、総合酒類小売業、輸入ワインおよび洋酒業、総合食品酒類卸業で、ヴーヴ・クリコ・ジャパン、MHD(モエ・ヘネシー・ディアジオ)などを経て、約25年間にわたり営業職として従事。2019年より飲食店サポート業務を手がけつつ、再びサービス業界へ。福岡のフレンチ「アニオン」、箱根リトリートホテル&ヴィラ by 温故知新、ウエスティンホテル横浜のメインダイニング「アイアンベイ」での勤務を経て、2025年8月よりシェ・フルール横濱の現職。バー、ホテル、インポーター、ディストリビューター、量販店、そしてサービスの現場―飲料をめぐるあらゆる立場を経験してきた視点から、「テーブルマリアージュ」というキーワードを軸に、料飲のあり方を探求し続けている。



