スペイン料理 × 花屋の新体験。Sonrisaが実践する、誰もが楽しめるノンアルコール戦略
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更新日:4 日前
お酒に強くない上田シェフだからこそ生まれた、飲む人も飲まない人も歓迎する「癒し」の哲学

蒲田駅から数分。色鮮やかな植物に包まれたその場所は、一見するとフラワーショップのようだが、一歩足を踏み入れると、そこには心地良い、活気に満ちたレストランの空間が広がっている。
「Flowers&Spanish Sonrisa(ソンリサ)」は、上田光嗣シェフが、かつて奥様が営んでいたお花屋さんの中で食事をした際に感じた「最高の癒やし」を、お客様にも体験してもらいたいという想いから生まれた場所だ。しかし、その本質は単なる「空間の魅力」に留まらない。料理とドリンクの「酸」のバランスを緻密に計算し、さらにお酒を飲む人も飲まない人も「同じ土俵」で楽しめる環境を整えることで、独自の顧客体験を築き上げている。
料飲関係者にとっても示唆に富む、上田シェフの独自の哲学を紐解く。
老若男女を呼び込む空間 お花と無骨さのバランス
上田シェフがSonrisaをオープンした原点は、奥様が営んでいた花屋「JUURI(ユーリ)」で食事をした際の体験にある。
「お花屋さんの中で飲んだり食べたりするのが、自分自身すごい癒やされていたんです。その体験をお客様にもぜひ感じてもらいたいという思いがありました」
現在は蒲田に3店舗を展開。Sonrisaはお花とスペイン料理、JUURIはお花屋さんの中の立ち飲みスタイル、そして2025年11月にオープンしたlober(ロベル)はピンチョスと豊富なシードル(常時グラスで8種、ボトルで100種)を専門とする。
一方で、上田シェフは店舗としての入りやすさを冷静に見極めている。花や植物を多く置くと空間はガーリーで女性的な雰囲気に寄り、男性のお客様が気後れしてしまう。そこで、ベースの内装はあえて無骨でシンプルな雰囲気に仕上げた。
「植物をどけると、実は結構男っぽい店なんです。そうすることでミドル世代の男性も入りやすくなる。そこに植物を掛け合わせているんです」
このバランスによって、女性グループから仕事帰りの男性客、さらには子供連れまで、誰もが居心地の良さを感じる空間が維持されている。
建築・陶芸としての料理 完成図から逆算する盛り付け
上田シェフの美学は、料理を単なる「味」としてではなく、視覚的な「完成図」として捉える点にある。
「陶芸家、建築家、料理人って似ていると言われていて。盛り付けを最後の完成図まで持っていって、やっと彼らと並べる。最後の絵が美味しそうでなければ、たとえ味が良くても意味がないんです」
この視覚へのこだわりは、Instagramでの発信にも現れている。上田シェフは、日中の自然光を活かし、あえて逆光気味に撮影することで料理に立体感を与え、皿を適度にカットして奥行きを演出している。この「見せ方」への徹底したこだわりが、お客様を引き寄せる強力なフックとなった。

「バカウマ」でなければ出さない、さらに酸味とドリンクの組み合わせにひと工夫
上田シェフの料理哲学は明快だ。「バカウマでなければ出さない」。
「『美味しい』じゃダメなんです。『うわ、うま!!!』って思ってもらえる料理じゃないと。お客様と自分の感覚は違うので、自分にとって『美味しい』くらいだとお客様によっては『ぼちぼち』で終わってしまうかもしれない。けれど自分の中で120点の『うわ、うま!!!』と思える料理に仕上げれば、お客様にとって100点の『美味しい』と感じてもらえるのではないか?と考えたんです」
上田シェフがSonrisaを立ち上げたのは、日本料理を8年、スペイン料理を4年経験した後のことだ。日本料理のアプローチを取り入れつつ、独創的なスペイン料理で「バカうま」を実現した結果、「ミシュランガイド東京2024」のビブグルマンに掲載されるなど高い評価を受けている。
さらに料理とドリンクの補完関係にも工夫がある。
特徴的なのは、料理における「酸」の扱いだ。上田シェフは、料理を締めるためのビネガーをほとんど使わない 。代わりに、ヨーグルトやフルーツなど、食材そのものが持つ柔らかな酸味を活用する。
「ワインには酸味がある。料理の酸味を控えることで『抜群』からわずかにずらし、ビネガーが足りない状態にしておく。そうすると、ワインを飲んでちょうど味が締まって味わいが完成するんです」
このロジックは、「他では食べられないものを作る」という信念にも基づいている。そのため、「牛肉の赤ワイン煮込み」や「シンプルな塩焼きのステーキ」などの定番はあえて提供せず、独自の組み合わせに昇華する。
例えば、馬肉のタルタルにはビーツやとんぶり、青唐辛子の酢漬け、マスタードシード、エシャロットを上から二層に散りばめ宝石のようなイメージに。パエリアには愛媛県産の鬼北キジと天然の山菜を合わせて、山のパエリアに。天然ブリと卵のクルードはあえて極厚にカット。お客様自身でギコギコとナイフで好きな幅にカットしていただく形で、口に入れた瞬間にブリと卵の旨味が広がるように。
日本料理で培った繊細な技法とスペインの食文化が融合した、「バカうま」な一皿がメニューに並んでいる。そこにドリンクの酸味が重なり合うことで、120点に到達するように練られているのだ。
感性を刺激する多彩なアプローチ 色からの着想
料理の開発プロセスも多彩だ。味覚だけでなく「色」のインスピレーションからメニューを組み立てることがある 。
「例えば『苺と茗荷』のインスピレーションは赤ベースの花束からです。八百屋に行って、赤色の苺と茗荷を目にした時に仕上がりが思い浮かびました。一緒に行ったスタッフは「本当に合うの?」という様子でしたが、色彩から美味しい組み合わせが生まれることを知って欲しくて、組み立ててみたんです」
また、料理に直接花を散らすことはしない。あくまでお花屋さんが作るような「白とグリーンの花束」のような色彩感覚を手がかりに完成イメージをつくり、美味しさはもちろんのこと、視覚的な癒やしも表現している。

ノンアルコールを「同じ土俵」に 価格と熱量のこだわり
Sonrisaではノンアルコールの需要が高い。それはなぜなのか。
「お花とスペイン料理っていう空間を楽しみたくて来る人が多いんです。『スペイン料理を食べに行こう』じゃなくて、『Sonrisaのこの空間で時間を過ごしたい』と思ってくれている。だから、当然お酒を飲めない、飲まない人もたくさんいらっしゃいます」
ソンリサのノンアルコールメニューの多くは自家製だが、これは開業当初からの計画ではなかった。
「最初はお酒系の素材を買ってきて炭酸で割ったり、ザクロ酢やグレープフルーツ酢を使ったり、試行錯誤していました。オープン当初の顧客単価は4,500円ぐらい。それが毎年1,000〜2,000円ずつ上がっていって、今は10,000〜12,000円になっている。その過程で、ノンアルコールも『一緒に楽しめる状態』に持っていかないといけなかった。それで自家製のノンアルコールを本格的に始めたんです」
「実は僕、お酒に強くないので飲めない人の気持ちが理解できるんです。お酒を飲んでいるうちに鼻が詰まってきて味がわからなくなったり、眠くなってきたり……あとソフトドリンクって安く提供してるところが多いので、お店に対してなんだか申し訳ないなという気持ちになったり、割り勘の時に安くしてもらったり、『一緒に楽しむ』空気から離れてしまう。だから、お酒を飲む・飲まないにかかわらず、お店は来てくれて嬉しいんだよ、と伝えたいんです」
お客様への配慮を欠かさない上田シェフは、ホールスタッフにもドリンクの背景を、ワインの説明と同じ熱量で丁寧に伝えるよう徹底している。
「『はい、コーラです』とそのまま提供するのと、自分達で時間をかけてどう作っているのか、どこにこだわっているか、なぜこの組み合わせにしたかを言葉にしながら提供するのとでは、お客様の受け取り方が変わる。提供する側に熱量があることで、お酒を飲む方も飲まない方も同じ土俵で楽しめるんです」

Apoptosisを選んだ理由──「普通に美味しかった」「お茶の香りが生きている」
なぜ自家製が得意な上田シェフが、Apoptosisのスパークリングティーを導入したのか。その理由を聞いてみた。
「普通に美味しかったんです」
上田シェフはそう率直に語る。まず直感的な「美味しさ」が原点だった。そして、自家製ドリンクを作り続けてきたからこそ分かる、ノンアルコールを作る難しさがあった。
「自家製でノンアルコールを作ってみるとわかるんですが、結構難しいんですよね。お茶の香りとスパークリングのバランスって。僕、元々日本茶カフェをやりたくて飲食業界に入ったので知識があるんですが、お茶の香りをここまで残せるのはすごいと思いました」
上田シェフが特に評価するのは、この3点だ。
香りが豊か:「ソフトドリンクって、香りがあるものが少ない。でもApoptosisのスパークリングティーは香りがしっかりあって、飲んだ後に抜ける香りも良い。例えば、真イワシのピンチョスの青い香りとほうじ茶のロースト感はマッチしますね」
タンニンと炭酸で次の一口を誘う:「お茶のタンニン(渋み)と炭酸が、スペイン料理の油分を切ってくれる。例えば、ポルチーニクリームソースなどのこってりとした味やオリーブオイルなどの油分などと合わせても、次の一口に進みやすくなる」
見た目もGood:「エチケット(ラベル)も可愛いし、お客さんも『良いものを飲んでいる』って感じることができる」
自分で作ることで、熱量が高まる。解像度が上がる。
「自家製にすると、スタッフが熱意を持つようになるんです。自分たちで作ってるから、他の店で飲んだ時に『あ、これはこうやって作ってるんだ。だからこの味なんだ』って理解できる。ノンアルコールに対する意識が変わるんですよ」
料理を作る感覚でドリンクを開発し、スタッフ皆で飲んだり食べたりして、料理との組み合わせを考えながらメニューを増やしていく。それが、Sonrisa流のノンアルコール戦略だ。
「料理を作ってて、『これに何が合うかな?』って考える時に、『じゃあ一度作ってみよう』ってなる。その繰り返しですね」
上田シェフは、今後もノンアルコールの可能性を探り続ける。
「Apoptosisみたいに、自家製では再現できない品質のものがあると、お店としても助かる。でも、自分達も作り続けたい。その両方があることで、お客さんの選択肢が広がるから」
【上田シェフが実践する「行きたくなる」店づくり】
完成図から逆算する: 盛り付けを建築や陶芸のように捉え、視覚的な「美味しさ」を徹底。Instagramでの発信も「逆光」や「奥行き」を計算し、食べる前の段階から期待を醸成する。
様々な角度からメニューを考案:120点の完成度を追求する姿勢に加え、食材の色調から発想を広げるなど、視覚と味覚を同時に満足させるアプローチで他のお店にはないメニュー作りを心掛けている。
抜群からあえてずらす: 料理にビネガーを使わず、ドリンクの酸味が料理と合わさって完成されるよう計算し、次の一皿、次の一口を「食べたい」、次の一杯を「飲みたい」につなげている。
価格設定によるホスピタリティ: ノンアルコールをワインやシードルなどと同等の価格帯で提供することで、飲まないお客様の引け目を解消し、ウェルカムな姿勢を見せる。店側も収益性を確保できるフラットな関係をつくる。
自ら作り、熱量を持って説明する: 自家製のドリンクを作ったり、スタッフと一緒にアイテムを試飲することで、提供時のアウトプット(説明)に熱がこもり、お客様にもテンションが伝播する。
【Flowers&Spanish Sonrisa 導入中のApoptosis商品】

Sparkling Japanese Tea -Roasted Green-(ほうじ茶スパークリング)
焙煎と抽出によりほうじ茶の風味を最大限に引き出し、泡の爽やかさを加えて瓶詰めした新定番。木香やナッツのような上品な香ばしさに、赤いりんごや黒糖のような甘やかな香りが重なり、重層的な風味の構造を楽しめる。和食懐石や鉄板料理とのペアリングにも最適。
Sparkling Japanese Tea -Rooibos-(ルイボスティー スパークリング)
市場流通量が少なく希少な「ルイボスグリーン」を使用した、カフェインレスで体に優しいドリンク。ルイボスをベースに、ハーブ、ブルーベリー、クランベリー、アロエ、ヨーグルトなどの多様な香りが重なるアロマティックな味わいが特徴。フレンチや創作料理との相性が良く、飲み飽きない一杯。
日本茶カフェを志して飲食の世界に入り、日本料理の経験を活かしてスペイン料理の道を選んだ上田シェフ。その哲学は、表現を変えながらSonrisaのメニューや空間、チーム、そしてノンアルコール戦略の中にも生きている。
0歳から100歳まで。お酒を飲む人も飲まない人も、同じテーブルで等しく楽しめる。Sonrisaは、そんな上田シェフの「誰もが最高の癒やしを体験できるように」という想いが詰まった一軒だ。

ノンアルコールの最新トレンドを知りたい・おすすめのドリンクを試したい方はご連絡ください
Apoptosisは、ホテル・レストラン向けに多彩なノンアルコールドリンクを開発・キュレーション・提供しています。Contactからお気軽にお問い合わせください。
店舗情報:
Flowers&Spanish Sonrisa
〒144-0052 東京都大田区蒲田3-17-12 束田ビル 1F
取材協力:上田光嗣シェフ
取材日:2026年1月27日
























