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非日常を紡ぐ、「少量多皿」の美学六本木「白土」シェフが語る、ノンアルコールペアリングの新境地

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  • 7 日前
  • 読了時間: 5分

カウンター8席、15品のコース、完璧なペアリング


六本木駅から徒歩5分、エトワール六本木の2階。カウンター8席だけの完全予約制レストラン「白土」で、白土誠司シェフが一人ひとりのお客さまと向き合う。


1990年千葉県生まれ。ホテルのフレンチ、恵比寿の和食、中華料理店を経て、麻布十番のフレンチレストランで3年間腕を磨いた。2019年10月に「白土」をオープン。

「非日常の体験」をコンセプトに、家ではできない「少量多皿」で提供する。豊洲から届く魚介類、北陸の飛騨や能登、福井の食材。生産者との対話を重ね、この食材にはどんな調理法が最適かを問い続ける。白土シェフの料理は、食材起点の発想から生まれている。


左官で仕上げた白壁、本物の木・土・石。益子焼、信楽焼、常滑焼、有田焼。店内の隅々にまで、白土シェフの美学が行き渡っている。



料理人が、すべてのドリンクを選ぶ


白土ではアルコールのペアリングに加えて、お茶のペアリングメニューが人気だ。

しかし驚くべきことにこの店には、ソムリエがいない。すべてのペアリングするドリンクを選んでいるのは、白土シェフその人なのだ。

「試飲会に足繁く通っています。時には美味しいお茶やワインから、料理の着想を得ることもあるんです」

15品という品数に対して、2品ごとに1杯のドリンクを合わせる。コース全体に流れが生まれ、料理とドリンクは互いを高め合う相乗効果の関係性を築く。白土シェフにとって、それは「寄り添う」という感覚によって生み出されるものだ。

オープンキッチンのカウンター8席という距離の近さ。会話から好みを把握し、一人ひとりと向き合う細やかな対応が可能になる。どんな仕事をしているか、普段どこで食事をしているか。お客様のことを知り、提案を行う。



ウニには緑茶、麻婆豆腐にはコンブチャを


惜しみなくペアリングの秘訣を語ってくれた白土シェフ。

「緑茶には、海苔や昆布のような旨味があるんです。だからウニやアワビといった海の幸と合わせます。生魚や魚介類とは相性が良いので、よく最初に出しますね」

お茶の旨味成分と、海の幸の甘み。それが口の中で重なり合う瞬間──ワインペアリングとはまた一味違う、繊細な調和がそこにある。

「『fog』のようなコンブチャは、中華系の料理やスパイスを使った料理と相性が良いんです」

発酵由来の白川茶のフルーティーな香りと心地良い微炭酸が特徴のコンブチャ『fog』。麻婆豆腐やよだれ鶏といった料理と組み合わせることもあれば、乾杯茶として出したり、デザートと合わせることもある。発酵飲料独特の複雑な風味が、スパイスの刺激と絶妙なバランスを生み出す。

石川県白峰の森で採れる香木クロモジを使った『QINOソーダ』は、ペアリングというよりもチェイサーや炭酸水のような位置づけで提供することが多い。特にランチではソーダだけを飲むお客様もいるのだという。



お店にはなんと20種ものお茶が常備されている


オープン以来、お茶のペアリングに取り組んできた白土シェフ。お店にはノンアルコールでお茶のペアリングメニューを選ぶお客様も多い。

「毎回一緒だったらつまらない。だから新しいお茶を探し続けています」

現在、店には二十種ほどのお茶が常備されている。季節や素材、お客様の好みに応じて、最適な一杯を選び出す。


白土シェフが捉えるノンアルコールドリンクとは、単なるソフトドリンクではない。アルコールと変わらない価値を提供する飲み物である。ノンアルコールのペアリングとアルコールペアリングは、客単価としてもほぼ同等だという。


普段アルコールを飲むお客様でも、車できていたり、何かしらの事情でその日は飲めないという方のための選択肢として、満足感のある体験を演出する。一人ひとりの客に寄り添う白土シェフは、アルコールとノンアルコールのミックススタイルでの提供も行う。


普段飲める方なら、乾杯をアルコールにして美味しいワインを二つだけ出す。お酒があまり強くない方なら、最初はお茶にして美味しいワインだけ二つ出すなど、臨機応変に対応している。


会話が、体験を生む

人生初のティーペアリングを体験する人も少なくない。「この料理に合うお茶は何ですか?」という質問も多い。


だからこそ、白土シェフは口頭での説明を重視する。お客様にはできれば紙ではなく口頭で伝え、シェフから直接聞くことが一番非日常感があり、会話が大事だと考えている。お客様からの問いに丁寧に答えることで、ティーペアリングというサービスが一人ひとりの心に根付いていく。



お茶は、お酒やワインになっていく


「お茶は、お酒やワインと同じような立ち位置になっていくと思うんです」

現場で日々お客様と向き合い、ティーペアリングの可能性を切り拓いてきたシェフだからこそ見える、未来の風景だ。


「お茶のフレーバーティーやボトルのお茶が増えてきている。ワインと同じような選択肢になってくると思います」


かつてワインがそうであったように、お茶もまた多様性と深みを持った飲み物として、レストランの世界に確固たる地位を築いていく──その流れは、もう始まっている。


その実現のために必要なのは、提供する側の知識だ。


「このお茶はこういう味がすると、ワインを出すときと同じように説明できること。提供するものを知ることが大事だと思います」


白土では、シェフ自身がその役割を担い、お茶それぞれの個性を理解し、料理との最適な組み合わせを日々探求している。


会話を通じて伝えること。人と人との対話こそが、最も価値ある体験を生み出す。

六本木の路地裏に佇む、カウンター8席のレストラン。白土誠司シェフは今日も、料理とペアリングを通じて、一人ひとりの客に特別な時間を届けている。



白土 (SHIRATO)

〒106-0032 東京都港区六本木4-4-8 エトワール六本木2F

TEL: 03-6804-1278


LUNCH:11:30 ~ 15:00

DINNER:18:00 ~ 23:00

定休日:毎週月曜

席数:8席(禁煙席のみ)


地下鉄 都営大江戸線『六本木駅』より徒歩約1分

地下鉄 東京メトロ日比谷線『六本木駅』より徒歩約5分

取材協力:白土誠司シェフ

取材日:2025年11月21日

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