玉兎とApoptosis、どちらを選ぶか──高級レストランのソムリエが価格帯で考えるボトリングティーの使い分け
- Apoptosis編集部

- 6 日前
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更新日:5 日前
玉兎とApoptosis、どちらを選ぶか──高級レストランのソムリエが価格帯で考えるボトリングティーの使い分け
高級ボトリングティーは大きく2つに分かれます。玉露の「覆い香と旨み」を最大化した玉兎と、産地の個性で飲み分けるシリーズ展開のApoptosisのStill Japanese Tea(ボトリングティー)。どちらを選ぶかは、テーブルの料理・ゲストの経験値・価格帯の設計によって変わります。
ノンアルコールのボトリングティーを導入しようとするとき、「どれを選べばいいか」という問いは、実はもう少し具体的に分解できます。ゲストに何を伝えたいか。料理の何を引き立てたいか。そして、価格帯をどう設計するか。
今回は私が実際に両方を手に取り、テーブルに置いたときの使い分けを、できるだけ正直に整理してみます。
まず結論を先に整理する
玉兎 | Apoptosis Still Japanese Tea | |
原料 | 京都宇治産 宇治玉露 | 産地別(静岡・京都・新潟等) |
風味の方向性 | 覆い香・濃密な旨み・まったりした甘み | 産地と種類によって多様(烏龍・紅茶・緑茶等) |
容量 | 220ml | 720ml |
ペアリング向き | 和食・京料理・繊細な素材 | コース通じた多様な使い分けが可能 |
語れる角度 | 覆い下栽培・宇治の歴史・テアニン | 産地テロワール・農家・品種の個性 |
導入の難易度 | 1種類でシンプル | 複数本のラインナップ設計が必要 |
玉露の「覆い香」と「旨み」とは何か
玉兎を理解するには、まず玉露という茶葉の特性を知る必要があります。
玉露は、収穫前の約20日間、茶畑全体に覆いをかけて育てる被覆栽培のお茶です。日光を遮ることで、旨み成分のアミノ酸(テアニン)がカテキン(苦み・渋み成分)に変わらないまま茶葉に蓄積されます。その結果、渋みが少なく、濃密な甘みと旨みを持つ茶に仕上がります。
この被覆栽培でしか生まれない独特の香りが、覆い香(おおいか)です。「青海苔のような」と表現されることが多く、磯の香りとも通じる、落ち着いた深みのある香りです。覆いをかけることで葉の中に生じる変化が、この香りを生み出します。
玉兎は、この玉露の特性を「瓶の中に閉じ込める」ことを、3年かけて開発した製品です。京都府茶協同組合が関わった背景には、「京料理に合うソフトドリンクがない」という現場の料理人たちの声がありました。
玉兎を手に取ったとき、どう感じたか

漆黒の遮光瓶に、月と兎のデザイン。グラスに注ぐと、透明感のある淡い緑色で、ワイングラスにも映える色調です。
口に含んだ瞬間、玉露らしい甘みと旨みが広がります。渋みはほとんどなく、まったりした余韻が長く続く。常温で飲むとその旨みがより鮮明に感じられ、冷やすとすっきりとしたキレが出ます。
食中での使い方としては、繊細な料理と合わせるときに特に向いています。出汁の効いた和食、蒸し物、白身魚の淡い脂。玉露の旨みが料理の旨みと調和する使い方です。主張が強いため、濃い味付けの料理よりは、素材そのものを大切にしたコースの流れに乗せる方が自然です。
一種類で和食の流れを通じて使えるという点は、現場での運用がシンプルで、スタッフへの説明もしやすい。「京料理を引き立てるお茶」という一文で語れるのは、現場では大きな利点です。
Apoptosis Still Japanese Teaとの根本的な違い
Apoptosis(アポトーシス)のStill Japanese Tea(ボトリングティー)は、産地ごとの個性を「種類」として展開しています。烏龍茶・和紅茶・緑茶と、茶種も産地も異なる複数のラインナップがあります。
産地テロワールで語る
たとえばMasui Blue(静岡県川根産の烏龍茶)は、日本茶の技術と中国茶の技法を組み合わせた仕上がりで、白い花のような香りと蜜のような風味が特徴です。Wazuka Green(京都府和束産の緑茶)は、山間の霧が育てた清廉な香りが余韻に残ります。

玉兎が「玉露のポテンシャルをすべて一本に込める」設計なのに対し、Apoptosisは「その日のコース、その皿に何が合うか」を複数の選択肢から選ぶ設計です。
ソムリエとして語れる素材の量
Apoptosisの場合、産地・品種・農家・季節という軸で話を展開できます。ワインのテロワール説明と同じ構造で、ソムリエが自分の言葉で語れる素材が豊富にあります。玉兎は「玉露×宇治」という一軸の深さで勝負する製品です。どちらが優れているのではなく、テーブルに何を届けたいかで選択肢が変わります。
¥500〜¥30,000の価格帯、ソムリエとしての実務的な考え方
「高級ボトリングティー」という括りの中には、実際にはかなり広い価格帯が存在します。この幅をどう設計するかは、ノンアルコールをメニューに組み込む上での核心的な問いです。
私が実務で考えるときの基準は、「誰に何を伝えるためのグラスか」という問いに立ち返ることです。
価格帯(目安/グラス) | 向いている場面 | 使いやすい製品例 |
〜¥1,000 | 乾杯・食前酒代替・気軽な選択肢として | スパークリングティー系(ノンアル選択肢の入口) |
¥1,000〜¥3,000 | コース中の一杯・ゲストへの説明コンテンツとして | Apoptosis Still(産地説明付きで提供) |
¥3,000〜¥10,000 | 特別なコースのペアリング・料理人とのコラボ文脈で | 玉兎・Apoの厳選産地(テロワールを丁寧に語る) |
¥10,000〜 | 極少量・一期一会の場・特別なゲスト対応 | 季節限定・農家直送・入手困難な産地品 |
ここで大切なのは、「価格が高ければ良い」ではなく、「その価格帯が生む体験と物語がゲストの期待に合っているか」という整合性です。
玉兎は¥3,000〜のレンジで「京料理と玉露」という物語を一本で完結させられます。Apoptosisは¥1,000〜¥5,000レンジで複数製品をラインナップし、料理に合わせてソムリエが選ぶ「ペアリングの文化」を作りやすい設計です。
どちらを選ぶか──場面別の判断基準
こんな場合は… | 向いている選択 |
和食・京料理のコースで一種類に絞りたい | 玉兎 |
ノンアルコールのペアリングコースを作りたい | Apoptosis Stillシリーズ |
スタッフへの説明をシンプルにしたい | 玉兎(覆い香・玉露・宇治の三点で語れる) |
ソムリエが料理に合わせて選ぶ文化を作りたい | Apoptosis Still(産地・品種・農家の語りが豊富) |
フレンチやイタリアンのコースでも使いたい | Apoptosis Still(Masui Blueなど烏龍・紅茶系) |
まず一本から試したい | 玉兎(和食特化で完成度が高い) |
Apoptosis Still Japanese Teaの各製品について
Apoptosisの現行ラインナップには、産地と茶種の異なる複数の製品があります。
アイテム名 | 種類 | 産地 | 味わいの傾向 |
Apoptosis Green | 緑茶 | 静岡県掛川 | 五感で満たされる至極の緑茶体験 |
Apoptosis Roasted | ほうじ茶 | 京都府和束 | 昔ながらの製法を守る作り手のキャラクター |
Masui Blue | 烏龍茶 | 静岡県川根 | 白い花の香りと蜜のような風味 |
Masui Red | 和紅茶 | 静岡県川根 | 華やかで深みのある色調と風味 |
Masui Green | 緑茶 | 静岡県川根 | 青い香りとフローラルさ、うまみとこく |
Wazuka Green | 緑茶 | 京都府和束 | 清廉な香りが余韻と共に続く |
著者プロフィール
Apoptosis Member / Apoptosis株式会社
東京・西麻布を拠点に、日本茶ベースのプレミアムノンアルコール飲料を製造・販売するApoptosis株式会社の公式アカウントです。静岡・京都などの茶産地と連携し、食中飲料としての日本茶の可能性を追求しています。




