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なぜ今、ワインオルタナティブが選ばれているのか?

  • 執筆者の写真: Mako Ozaki
    Mako Ozaki
  • 3月6日
  • 読了時間: 8分

更新日:2 日前

お酒を飲む方にはワインを、飲まない方にはワインオルタナティブを推奨するスタイルも



健康管理・妊娠・授乳・宗教上の理由など、飲めない理由は人それぞれです。しかしこれまで、そうしたゲストの選択肢は事実上「ソフトドリンク」に限られていました。ワインオルタナティブはその空白を埋める考え方です。

 

ワインオルタナティブを標榜するドリンクは、甘さはジュースより抑えられつつ、果汁由来のやさしい甘みで飲みやすさも感じられます。料理を選ばないニュートラルな甘みは、コース全体を通じた提供にも適しています。また、素材由来の酸味は、料理のコクや脂をほどよく引き締め、お料理の味の補完にも活用できます。スパイス、ハーブなどが生む複雑な風味世界は、香りと余韻でしっかりと印象を残します。ワイン通やカクテル好きのゲストからも「飲みごたえがある」と評価されています。

ラインナップのカラフルな見た目からも、「次はあのフレーバーを試してみたい」という声が生まれやすいのも、ノンアルコールドリンクの中では特徴的です。

 

こういった特性から、メニュー上でワイン・カクテルに準じたプレミアムなノンアルコールとして位置付けるホテル・レストランが増えています。飲めない・飲まないゲストの満足度と同時に、顧客単価増にもつながるアイテムとして活躍が見込めるのではないでしょうか。

 

お酒を飲む方にはワインを、飲まない方にはワインオルタナティブをペアリングさせているレストランもあります。、コースの各皿に合わせたペアリングの提案、スタッフによる「どんな素材で設計されているか」の一言を添えることで、体験の質を引き上げることができます。

 

ノンアル選びや自家製モクテルにも役立つ

ワインオルタナティブの設計の仕組みをご紹介


オーストラリアブランド「NON」チームが提唱したワインオルタナティブの設計とは?



ワインオルタナティブを一言で定義するなら、「ワインを模倣するのではなく、ワインが飲まれる場面・器・文脈を共有するために設計された飲料」です。

 

今回ご紹介するワインオルタナティブブランドの潮流は、ワインからアルコールを除去して作るのではなく、お茶、スパイス、ハーブ、果実、果実酢などをゼロから調合していることがポイントです。ワインの要素である「酸味・渋み・塩味/旨味・香り/風味」を組み立てることで、テーブルでの飲料体験を等価にすることを狙っています。

 

単体での美味しさはもちろんですが、料理人やフードクリエイターが設計していることと、ワインに並ぶ複雑性・世界観を持っていることが特徴です。「料理をより美味しくするために選ぶ」積極的な選択肢として、料飲体験を拡張する考え方といえます。

 

ワインオルタナティブの組み合わせ例

ワインオルタナティブのブランドは、下記のようなワインの構造からレシピを組み立てています。これはボトルアイテムに限らず、自家製でモクテル・カクテルを作る時にも参考になる考え方です。 


  • 酸味:葡萄果汁、林檎酢、柑橘類など

  • 渋み:茶葉、果皮・種、スパイスなど

  • 塩味/旨味:塩、昆布、オリーブなど

  • 香り・風味:果実、ハーブ、ボタニカルなど


ノンアルコールワインとの違い 「引き算」か、「足し算」か

ノンアルコールワインとワインオルタナティブには、その作り方に大きな違いがあります。


脱アルコール製法

一度本物のワインとして完成させた後、高度な技術でアルコール分のみを取り除く手法です。主な技術には3種類あり、減圧状態でアルコールの沸点を通常の78℃から大幅に引き下げ、概ね30〜48℃程度(技術や設備により差異あり)でアルコールを蒸発させる「低圧蒸留法(減圧蒸留)」。加熱を行わず、圧力差を利用してアルコール分子だけを膜で分離する「逆浸透膜法(RO法)」。そして、現在ワイン業界で最も広く採用されており、アロマ保持に優れるとされる「スピニングコーンカラム法(SCC法)」です。SCC法は真空遠心力を利用した30〜45℃での蒸留技術で、アロマ成分をいちど分離・保存し、アルコールを除去した後にアロマを再添加します。そのため香気成分の損失が他手法と比較して小さく、ワイン本来の渋みや香気を残しやすいと言われています。

 

非発酵法

そもそもアルコールを発生させない手法で、葡萄果汁の糖分を調整したり発酵を途中で止めたりすることでアルコール生成を抑制します。発酵を経ないぶん、葡萄果汁のフレッシュさをそのまま活かした飲み口のものが多く見られます。


※ ワインオルタナティブという言葉は、広義にはノンアルコールワインを含め、様々なノンアルコール飲料を含むことがあります。今回は本来の意味に近い「素材からゼロベースでレシピ設計し、食材・調理技術・風味設計の観点から構築された飲料」という定義でご紹介しています。


注目のワインオルタナティブ、3ブランドをご紹介

Palette & Palate(パレット&パレット)

東京発のJAPAN BRANDとして誕生したワインオルタナティブ。世界一に五度輝いたコペンハーゲンのnoma(ノーマ)の元料理人William Wade(ウィリアム・ウェイド)氏が監修し、国内トップソムリエとタッグを組んで開発されました。

味わいの核となる茶葉には、1850年(嘉永3年)創業、170年以上の歴史を誇るつぼ市製茶本舗が協力。日本ならではの繊細な味わいに仕上がっており、飲みやすい優しいテイストが特徴です。

フレーバーラインナップ

  • Beni(ベニ):赤系の花とフルーツ、ベジタル。僅かにタンニンがあり、柔らかい質感と余韻のなめらかさが特徴。味わいはややジューシーさも。

  • Shiro(シロ):フルーティーで僅かに甘さを感じる香りだが、味わいはドライでみずみずしい。ハーブの香りや柑橘の苦味、塩味などがあり味わいは複雑。

  • Akebono(アケボノ):控えめな和紅茶の香りとは裏腹に、味わいは柑橘の皮や紅茶の苦味や渋みにインパクトがあり、柔らかくみずみずしい質感と好対照を作る。


Non-Alchemist(ノンアルケミスト)

日本発のワインオルタナティブブランド。ナチュラルワインをイメージして設計されており、白ブドウ・赤ブドウ果汁を主軸に、果汁・ハーブ・スパイス・茶葉などを組み合わせ、醸造酒では生まれない質感と複雑さを実現しています。トリュフやビーツなど、素材を贅沢に使っていることが特徴で、力強い香りと味わいに虜になる方が続出しています。特に人気なのはチロリペカ、ペルーロですが、5種類から好みを選べるのも嬉しいポイント。


フレーバーラインナップ

  • Chirolipeca│チロリペカ:白ブドウ果汁を主軸にグレープフルーツやパインのトロピカルな甘さ、ミントやライムの香り、酒石酸による収斂味と複雑な酸味に、白トリュフの香り。

  • Peruro│ペルーロ:赤ブドウ果汁を主軸に紅玉の果汁とハイビスカスティーを重ね、

    フルーティーで奥行きある酸味に。ビターシロップに生姜やビーツの土っぽさが感じられる。

  • Vancliff│ヴァンクリフ:カカオハスクとトンカ豆の香りが立ち上がる、奥行きのある一本。赤ブドウ果汁と白ブドウ果汁をブレンド、薄く褐色を帯びた水色が特徴です。

  • Maliika│マリカ:ジャスミン茶の華やかな香り。白ブドウ果汁と赤ブドウ果汁を重ね、

    やわらかな甘さと奥行きがあります。紅芋酢で、ほどよい発酵感と旨みをプラス。

  • Charles│チャールズ:アールグレイ、ダージリン、アッサム。3種の紅茶の渋みとコクに、白ブドウ果汁のやわらかな甘さ。シナモンと洋梨の精油が、ほのかに甘い香りを纏わせます。

NON(ノン)

オーストラリア・メルボルン発のワインオルタナティブブランド。Aaron Trotman(アーロン・トロットマン)氏が手がける、全く新しいドリンク体験です。ワインの構造を分解し、ヴェルジュ(未熟ブドウ果汁)・茶葉・マレーリバー塩・シェフが調理した素材で再設計しています。2023年にはニューヨークのミシュラン三ツ星レストラン でのノンアルコールペアリングプログラムに採用され、北米での認知が一気に拡大しました。


フレーバーラインナップ

  • NON1 Salted Raspberry & Chamomile|スパークリング:フランボワーズを思わせる味わい、ギリギリ感じられる甘み、紅茶の旨味、余韻に柔らかく漂う酸味。

  • NON2 Caramelised Pear & Kombu|スパークリング:アップルパイのような甘い香りと昆布出汁のような旨味、青りんごのようなフレッシュな酸がある爽やかな味わい。

  • NON3 Toasted Cinnamon & Yuzu|スティル:シナモンの甘い香りと裏腹に、味わいは柑橘系の酸が柔らかく主張する。やや口の中では厚みを感じるが、後味は爽やかに抜けていく。

  • NON5 Lemon Marmalade & Hibiscus|スパークリング:赤いフルーツとハイビスカスの香りに僅かな苦味があり中盤の味わいの厚みも。華やかな香りとは裏腹な落ち着いた味わい。

  • NON7 Stewed Cherry & Coffee|スパークリング:ケチャップとシナモンの香りと密度のあるミッドパレットが特徴。酸味がバランスを取り、余韻はトマトやイチゴジャムのよう。


ワインオルタナティブは、単なるノンアルコールではなく、料飲体験を充実させる考え方と、カテゴリとして注目度が上がっています。「飲めないから仕方なく」ではなく、「あえて選びたくなる」 味わいと体験を、独自のレシピを通じて提供するワインオルタナティブ。ぜひ一度お試しください。


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